若桜さくらの郷
■建築物概要
所在地 :若桜町
主要用途:診療所・デイサービス・住宅型有料老人ホーム
構造規模:木造 在来軸組工法 平屋建て
延床面積:1,538.37㎡
設計協力:株式会社佐々木構造設計(構造) 山根設計(電気設備)
施工会社:株式会社ジューケン
■計画の背景
長らく若桜地域の医療を支えてきた『わかさ生協診療所』を移転新築する計画です。移転に伴い、デイサービスと住宅型有料老人ホームの機能を加えた複合施設として生まれ変わりました。地域の医療から介護福祉サービス、高齢者住宅サービスまで一貫して提供する挑戦的な取り組みです。
本施設では地域住民と共に利用可能な菜園やオープンスペースを備え、町営バスも乗り入れます。デイサービスと高齢者住宅それぞれの利用者同士の交流だけでなく、地域住民と一体となった、町のシンボルとなるような施設運営が期待されます。
また、これまで多数の事業所に分散していた職員も一堂に会し、事業所の垣根を越えて地域住民の生活をサポートします。
■建物の特徴
診療所・デイサービス・老人ホームの異なる3つの機能を明快にゾーニングした使いやすい平面計画としました。各ゾーンを接続する全長約130mの長い廊下は端から端まで容易に見通すことができ、所々に設けたホールやアルコーブにより高所から明るい自然光が届けられます。アルコーブはベッドの移動や車いすの転回スペースとしても機能し、バリアフリー性に優れます。
本建物は一般的な住宅と同じ「木造在来軸組工法」での計画とし、鳥取県産木材を用いて地域の職人の手により作られました。同工法では鳥取県内で屈指の規模です。積雪2mの豪雪に耐えるダイナミックな木架構をそのまま意匠として表し、所々に用いた杉板や杉パネルの造作家具とも相まって素朴で暖かい仕上がりとなりました。
また、寒冷地域に配慮した高性能な外断熱・樹脂製窓を採用し、一年を通して安定した環境での暮らしが可能です。